『悪い奴ほどよく眠る』(わるいやつほどよくねむる)は、1960年(昭和35年)に公開された日本映画である。監督は黒澤明。
父を殺した現代社会の機構の悪にいどむ男の物語。
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悪い奴ほどよく眠る (1960) / The Bad Sleep Wellのあらすじ
土地開発公団の副総裁、岩淵(森雅之)の娘・佳子(香川京子)と、岩淵の秘書・西(三船敏郎)の結婚式が盛大に始まる。公団の課長補佐が汚職関与の疑惑で逮捕されたばかりで雰囲気はものものしい。のみならず運ばれてきた入刀用ケーキに場がざわめく。公団のビルをかたどったケーキの7階に赤いバラの花が刺さっている。それは5年前、公団の課長補佐・古谷が飛び降り自殺した窓だったからだ。
警察に拘引されていた公団の課長補佐・和田(藤原釜足)は、刑事の尋問に黙秘を通したのち、自殺しようと火山の火口に向かうが、それを阻止したのは西であった。西は和田を車に乗せ、和田自身の葬儀の様子を見せながら、テープレコーダーで隠し取った、和田の上司の守山(志村喬)と白井(西村晃)の会話を聞かせる。守山と白井は和田の自殺に安堵し嘲笑っている。西は彼らに復讐を企んでいることを語り、和田を仲間に引き入れる。
ある日、白井が金庫をあけると、現金の代わりに公団のビルの写真がはいっており、ケーキと同様に7階の窓に×印が付けられていた。白井は公団に戻り、これが古谷の死に恨みを持つ者の報復行為であることを岩淵と守山に説明するが、逆に着服したのだろうと疑われてしまう。そして深夜に憔悴しての帰宅途中、白井は暗がりに和田の姿を見る。驚愕した白井は守山の自宅に駆け込み、和田が生きていると訴えるが、既に白井を信用していない守山は一蹴する。追い詰められた白井が客先にまで和田の件を喋り始めたため、遅まきながら岩淵と守山は白井を懐柔しようとしたが、白井は疑心暗鬼に陥っており、古谷の件も含めて何もかもぶちまけてやると言い出したため、殺し屋に狙われる羽目になる。
その殺し屋から白井を救ったのは西であったが、西は白井を深夜の公団ビルの7階に連れて行き、5年前にここから飛び降りて自殺した古谷が自分の父親だと明かし、白井を殺そうとする。恐怖のため白井は発狂する。
さらに西は仲間の板倉と戦禍の廃墟に守山を拉致する。しかしその頃、西の正体が岩淵に露呈していた。西は、父を自殺に追い込んだ岩淵の懐に飛び込むため、板倉と戸籍の交換をし、その娘、佳子と結婚したのだ。しかし、西は心を完全に鬼にすることはできず、佳子を愛してしまっていた。同情する和田により、廃墟に連れて来られた佳子は、西から父親の犯罪を知らされる。佳子の体には触れていなかった西だが、その日初めて佳子を抱擁する。
しかし佳子が兄の辰夫と廃墟へ再び来て見ると、板倉がひとり嗚咽している。西が車の事故に見せかけて殺されたのだった。岩淵に西の所在を尋ねられた佳子はこの場所を岩淵に教えてしまったのだ。辰夫は、ショックで廃人のようになった佳子を抱きかかえて岩淵の下へ行き、「親子の縁を切る」と告げて家を去る。しかし謎の人物から電話で、「一時外遊でもして、ほとぼりが冷めるのを待て」と指示された岩淵は、安堵し「お休みなさいませ」と返事をする。
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